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むちゅー刑事
本名:ヒライズミ
棲息地(勤務地):「警視庁銀座懲怒街警察署刑事課
特徴:映画、ドラマに精通し、旨いメシ旨い酒にうるさい。
好きな言葉:「ドブネズミみたいに美しくなりたい」アーカイブ
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日別アーカイブ: 2019年2月20日
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チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第1回『現代鬼婆考・殺愛』
『キイハンター』(68~73年)に『プレイガール』(69~74年)、『非情のライセンス』(73~80年)に『特別機動捜査隊』(61~77年)……。いずれも、日本のテレビ史にその名を残した傑作「テレビ映画」ですね。その一方で『五番目の刑事』(69~70年)や『ゴールドアイ』(70年)、『ターゲットメン』(71~72年)などは“知る人ぞ知る”タイトルだと言えるでしょうが、近年、東映チャンネルでは、これら60~70年代の「テレビ映画」の放送が充実していると感じます。劇場公開作品はもちろん、テレビの特撮ヒーロー作品やアニメ作品が好きで東映チャンネルに加入している方は多いと思いますが、アクションドラマやサスペンス、時代劇など多岐にわたる東映の「テレビ映画」を偏愛している方も、きっと多いのではないでしょうか。
かく言う私もそのひとりでありまして……。現在の地上波でよく言われるところのコンプラなんとかの基準を遥かに超越したレベルで繰り広げられる物語と映像描写に、常にクラクラ。これらの作品を、映画館ではなく、お茶の間で観ることができていたという事実も含めて、感動してしまうわけです。
東映チャンネルさんには今後も、こういった「テレビ映画」群の発掘を続けてほしい……という切なる願いを込めて、今月より「東映テレビドラマLEGACY」なるコラムを連載させていただきます。ここまでの流れから、なぜ「テレビ映画LEGACY」ではないのかと思われるかもしれませんが、はっきり言うと、それはいずれフィルム撮影ではなくビデオ収録による作品も紹介することになるだろうから、という保険でございます。どうか、ご了承ください。
第1回ということで、前置きが長くなりましたが、今回ご紹介したいのは、小池一夫(一雄)原作・千葉真一主演による『現代鬼婆考・殺愛(さつあい)』です。この作品は1973年(昭和48年)9月28日(金)に放送された単発ドラマ。当時、大阪の毎日放送(MBS)をキー局として、NET(現:テレビ朝日)系にて放送されていた『サスペンスシリーズ』という枠がありました。早い話、後の2時間ドラマのようなものではありますが、このころはまだ『土曜ワイド』も『火曜サスペンス』もなかった時代。1時間枠の『サスペンスシリーズ』は2クール(半年)続いて終了を迎えましたが、『殺愛』はまさに、この枠の最終回を飾った作品でした。
八坂産業の社長・八坂総一郎からの殺人の依頼を受けて、安達ヶ原から久しぶりに東京へやって来た、ひとりの老婆がいました。彼女の名は、大庭しげ。年齢はなんと300歳だといいます。
しげは昔から、八坂の依頼を受けて多くの人間を殺してきました。しかし今回のターゲットは八坂自身。彼は、自分が余命3ヶ月ということを知り、自分と妻を全く同じ時刻に別の場所で殺してほしいという、困難な依頼をしてきたのです。
「愛するが故に殺す、愛しているからこそ殺される」――それが、八坂の「殺愛」哲学でした。
これを了承したしげでしたが、八坂にも、そして妻の花江にも、その立場上、屈強なSPたちがついています。この計画が極秘である以上、しげはSPたちをかいくぐって、二つの殺人を成功させなければいけません。しかも、「別の場所」で「同時」に……。
そのころ、安達ヶ原から、もうひとりの人物が東京へと向かっていました。それは16歳の可憐な少女・大庭しげみ。彼女が上京した目的は、果たして?
……というのが『殺愛』のあらすじです。焦点は、老婆しげがどうやって殺人を成功させるか、なのですが、それにとどまらず、物語は実にトリッキーな組み立てとなっています。最初に「千葉真一主演」と書きましたが、このあらすじでは、いったい“千葉ちゃん”がどの役を演じるのか、分かりませんよね?(番組紹介用の写真を見れば、きっとお分かりになると思いますが……)
本作を手がけた竹本弘一監督は『仮面ライダー』(71~73年)と『秘密戦隊ゴレンジャー』(75~77年)、現在まで続く2大シリーズの元祖となる両作の第1話を担当したというだけでもすごい経歴の持ち主なのですが、『キイハンター』においても「吸血昆虫島 上空異状あり」や「荒野の列車 大襲撃作戦」など、サスペンス&アクション編の傑作を撮っています。これらのエピソードの主役は、もちろん千葉真一。つまり『キイハンター』以来の竹本&千葉コンビがここで復活したことになるのです。そして――少女・しげみを演じるのは志穂美悦子。本作の約2ヶ月後から『キカイダー01』(73~74年)でビジンダー=マリを演じる彼女ですが、本作こそがテレビにおけるデビュー作でした。華麗なアクションを披露するシーンでは、「やられ役」として、現在のジャパンアクションエンタープライズ(JAE)社長にして映画監督でもある金田治や、名バイプレーヤーとして活躍中の春田純一(当時は「春田三三夫」名義)らが出演しているのも見逃せません。また当時、千葉と結婚したばかりだった野際陽子も意外な形で登場。盛りだくさんな内容で、ラストまで目が離せなくなることでしょう。
シリーズ番組とは異なり、単発ということもあって、これまで再放送の機会に恵まれなかった本作。今回、同じく『サスペンスシリーズ』の1本として放送された降旗康男監督・野際陽子主演による『人妻恐怖・地獄道路』(こちらも、なんともソソるタイトル!)とともに、東映チャンネル初放送となります。どうぞ、ご期待ください!
<放送日時>
『現代鬼婆考・殺愛』
3月9日(土)13:00~
3月23日(土)13:00~
3月28日(木)14:00~
『人妻恐怖・地獄道路』
3月2日(土)13:00~
3月16日(土)13:00~
3月28日(木)13:00~
文/伊東叶多
2019年2月20日
カテゴリー: その他