月別アーカイブ: 2019年5月

その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第4回『女からの眺め』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、『火曜サスペンス劇場』(81~05年)において、1987年の正月第1弾作品として放送された「女からの眺め」をご紹介します。脚本は、NHK『天下御免』(71~72年)、『夢千代日記』シリーズ(81~84年)、『花へんろ』シリーズ(85~88年)などで知られる早坂暁。監督は、本作放送の翌年よりスタートした『はぐれ刑事純情派』(88~05年)で一貫してメイン監督を務め、唯一の劇場版も手がけた吉川一義。そしてキャストは文中で紹介していきますが、主演級がズラリと揃った豪華な布陣となっています。

総合病院の「聖カトリーヌ病院」で内科医を務める鶴見朝子(岡田茉莉子)はひそかに、病院の隣にある「三王デパート」の売上金20億円の強奪計画を立てていました。朝子が声をかけていた「共犯者」は、すべて女性ばかり――。

詐欺にあって大金を失った、看護師の波崎くに子(樹木希林)。妻子ある上司との不倫関係の末に捨てられた「三王デパート」経理部員・原まゆみ(川上麻衣子)。夫が事故死したシングルマザーで、乳癌のため余命宣告された芸者の元木英子(永島暎子)。舞台の人気女優でありながらも、やはり病のため、やがて脚を切断しなければならない麻生花絵(三ツ矢歌子)。かつて女郎屋にいた老婦人で、現在は聖カトリーヌ病院で清掃員を務める土井原玉代(加藤治子)。そして、モデルだが暴漢に襲われ、性病に感染した辻井ユキ(城源寺くるみ)。この6人に朝子を加えた7人がフルメンバーです。朝子自身もまた癌患者で、しかも母・カズエ(鈴木光枝)は認知症にかかっていました。

それにしても、女性ばかりで大金を強奪しようとは、なんとも大胆な計画です。しかし、朝子やくに子には、勝算がありました。

7人が目指すのは、計画を成功させて、都会を離れたユートピアで、ひっそりと生きること。決行日は12月15日。7人それぞれの明確な役割も決まりました。果たして、20億円の強奪はうまくいくのでしょうか? それとも……!?

 

……というわけで、プロット自体はシンプルながらも、ひじょうに興味をそそられるものです。さまざまな背景を持った7人の女性が、完全犯罪に挑む。ネタバレぎりぎりのことを書かせていただくと、女性陣のキャスティングが豪華すぎたせいでもないでしょうが、本作では、いわゆる「捜査関係者」にあたるキャラクターは、ほぼ出てきません。そんなヒント(?)から、展開を想像していただくのも面白いのではないでしょうか。

全体の構成としては、クライマックスの「犯行」からは、とてもスピーディーに描かれていきます。ドラマの中心を成すのは、犯行へ至るまでの7人の女性の関わりです。とりわけ中盤の「作戦会議」の一連は圧巻。なんといっても、岡田茉莉子をはじめとする「犯行グループ」の女優たちは、本来はそれぞれが主演を張れるレベルなのですから(ユキ役の城源寺くるみは「にっかつロマンポルノ」最晩年にデビューし、活躍していた若手女優。『アリエスの乙女たち』などテレビドラマの出演も多い)。

中でも、くに子役・樹木希林と玉代役・加藤治子のちょっとしたやりとりは、本作の良いフックとなっています。ご存知のように、このふたりは『七人の孫』(64~66年)や『寺内貫太郎一家』(74~75年)などでも共演。お互いを知り尽くした女優同士だけに、その「かけあい」の妙は抜群なのです。さらに、「犯行」の真っ只中においては、まゆみ役の川上麻衣子も体を張った熱演を見せます。当時20歳で、7人の中でも最も若かったのが彼女ですが、並み居るベテラン女優たちに負けない存在感を示しました。

他のキャストとしては、ユキを診察する女医・植村役に黒田福美、まゆみの上司で経理部長の平田役に浜畑賢吉、朝子の夫・和夫役に石山雄大、花絵がペットを入院させる犬猫病院の医師役に池田鴻、「三王デパート」の守衛役に相馬剛三、デパートの売上を受け取りに来る銀行員役に津山栄一、など。ちなみに池田鴻はアニメ『機動戦士ガンダム』(79~80年)の主題歌シンガーとしても知られますが、惜しくも本作が放送された翌年、48歳の若さで世を去っています。

劇中、ちょっと驚くのが、くに子の台詞で「有楽町三億円事件」に触れた箇所があることです。同事件が発生したのは1986年11月25日で、本作の放送の6週間前。少なくとも該当シーンの撮影は、この事件の発生後に行われていたわけで、2時間ドラマとしては、意外にタイトなスケジュールだったことがわかります。とはいえ、この台詞の存在は、特にリアルタイムの視聴者に対しては、効果を与えていたと言えるでしょう(同事件は、1988年4月に主犯格がメキシコで逮捕されたことで終結しました)。

最後に、本作の味わい深いタイトルについて。朝子の務める病院から犯行現場となるデパートが見えることや、女性だけによる犯罪計画であることが、もちろんタイトルの由来となっているのですが、作品をトータルで観ていると、その他にもタイトルに込められた意味がいくつも感じられます。「昭和」末期に企画された、2時間ドラマの秀作を存分にご堪能ください。

それでは、また次回へ。なお、6月の「違いのわかるサスペンス劇場」では、本作のほか、1981年の『土曜ワイド劇場』作品である「死刑執行五分前」(主演:若山富三郎、中村玉緒)も放送されます。こちらの原作は、戦前から売れっ子の脚本家として活躍し、1950年代の邦画全盛期に東映京都撮影所作品を数多く手がけて「比佐天皇」の異名をとった比佐芳武(1981年12月没)。脚本家としての活動は70年代前半までだったようで、本作はある意味での「遺作」と言えるかもしれません。「女からの眺め」と併せ、ご覧になってみてください!

文/伊東叶多

 

<放送日時>

『女からの眺め』

6月8日(土)13:00~

6月22日(土)13:00~

6月25日(火)22:00~

 

『死刑執行五分前』

6月1日(土)13:00~

6月15日(土)13:00~

6月29日(土)13:00~

2019年5月21日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 平成から令和へ 新しい時代もよろしくね

「キーハンター」を観て国際秘密警察へ就職したかった昭和の夢見る夢子も、遂に3世代目に突入。昭和、平成、そして令和。おばあちゃんが明治、大正、昭和と生きてきたのを思うと、なんか急に年取った気が…いや、なんか、いい時代を過ごしてきたなとしみじみ思うかめぽん。TVを観て、どっぷり想像の世界に浸れたのは平和な世界だったということだもの。
で、「アイフル大作戦」。「キーハンター」の余波に浸り、かめぽんはすぐに本作を観て探偵学校に行きたくなった。いや、そんな学校、多分なかったけど。色っぽい校長先生@小川真弓さんに、可愛らしい生徒たち…可愛いというか、大人びているというか、兎も角、オシャレだけど、ちょっとおっちょこちょいな生徒たちの活躍をワクワクしてみていた。かめぽんの大好きな西田健さんも若くてカッコいい。新しい時代になったときに、また大好きな「アイフル大作戦」を楽しめるなんて、本当に嬉しいぞ。今回のイラストは60年代から70年代のイメージで描いてみた。その時代のものって、今もすごく心惹かれる。ファッションも人々の立ち居振る舞いも、なんか憧れる。かめぽんの頭に描く大人って、多分この時代のイメージ。自分は年とっても、キーハンターの野際さんのようにも、アイフルの小川さんのようにもぜんぜんなれない。ああ、年をとればみんな素敵な大人の女性になれると思っていたのになあ

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今月はさらば平成ということで、平成ライダー大集合だったり、平成の刑事物の代表作「相棒」のスペシャルも。昭和のマジンガーが平成になったらこうなったという「劇場版マジンガーZ/INFINITY」が令和に登場。時代の移り変わりを楽しめる。東映の時代劇スター片岡御大の特集や、昭和のやさぐれBOYS、ビー・バップ・ハイスクール特集も。昭和から平成、そして令和とじっくりと時代の流れを味わっていただきたい。

今月も、わくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2019年5月7日 | カテゴリー: かめぽん