まさにお宝発掘!4月から放送開始の『風小僧』劇場版。発掘作業に関わった東映の女インディージョーンズ・トッポからの報告だぜ!
「ついに、ついに放送される『風小僧』。東映が赤字続きでハラワント映画と揶揄された時代に、大ヒットして東映を救った『新諸国物語紅孔雀』に登場する“風の小六”のスピンオフだ。
何といっても『風小僧』で外せないのは山城新伍が二枚目だという事だ(失礼!)。勝新太郎が白塗り二枚目としてデビューしたのと同じく、山城新伍は後年のイメージからは想像つかない颯爽とした見目麗しい美剣士だったのだ。
と言いながら、実はトッポは『風小僧』を見たことがない。なぜならフィルム原版が長らく行方不明だったからだ。
言い伝えでは廃棄されたことになっていた。再放送も無ければパッケージ化もない。かろうじて映画版3作品が東映チャンネルで放送されるのみ。当時、東映ファンイベントの野球大会では山城新伍への声援が一番大きく、テレビの影響力に東映関係者は驚いたそうだが、そんな大ヒット作が見ることができないなんて・・・。しかも東映初のテレビ実写映画で国産テレビ映画としても最初期にあたる、日本テレビ史的にも燦然と輝くこの作品を見ることができないなんて・・・。時代劇と言いながら空を飛んだり怪人(妖怪?)と戦ったり、次作の『白馬童子』の白馬に乗って獅子の振り毛で現れる山城新伍を見ればわかるが元祖東映特撮テレビヒーローとして仮面ライダーまでつながるんだぞ。個人的には第二東映の前身の東映テレビプロ製作ということでオープニングは火山なのか荒波なのか気になるよ!ひどいじゃないか!何で棄てるんだ東映!と思っていたら、2010年の6月、普通にフィルム倉庫で発見された。
それは『風小僧』の生い立ちにも一因がある。『風小僧』はテレビ映画として放送した後に2話を1編に再編集して劇場公開された。1959年のテレビの普及率は23.6%だから、劇場で見た人も多かったのではなかろうか。テレビと映画が混然一体となって作られたので、倉庫内でテレビでもなく映画でもない仲間外れの謎フィルムとして眠っていたのだ。よかったよかった、よく出て来てくれた『風小僧』よ。
そんな訳で本作がどれほど重要な作品なのかわかっていただけたと思う。配信と映画とテレビとが混然一体のコンテンツとして供給されている現在、歴史は繰り返すんですね。そういう転換期の作品はやはりエネルギーがある!(はず。まだ見てないからわからないけど)。ぜひともご一見あれ。」