かめぽん

チューもく!! GW明けの日常スタート。 レジャーでくたくたのいま、颯爽とした若武者で癒やされて。 「一挙放送! 新吾十番勝負大会」@プリンス橋蔵さま

GWいかがお過ごしでしたか。
かめぽんはおうちのプチリフォームがあり、ほぼ在宅。
でも、綺麗になったお部屋に毎日癒やされております。

さて、今年のGW、どこに行っても人がすごかったですね。
おうちでTV三昧の方もいらしたのでは?
かめぽん夫は今頃仮面ライダーにはまり←本放送の時はぜんぜん見てなかったそう、ダブルライダーの活躍に心奪われておりました。
かめぽんはリフォームしたお部屋で、のんびり橋蔵さまを堪能するつもり。
「一挙放送! 新吾十番勝負大会」めちゃくちゃ楽しみです。
ぽちぽちと五月雨式には観ていたのですが、一気に観るとテンションアップ間違いなし。

202305

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今月の東映チャンネルも花盛り。
『聖闘士星矢 The Beginning』公開記念【聖闘士星矢スペシャル】、実は原作にあまり触れてこなかったかめぽん、星矢といえば荒木伸吾さん、姫野美智さんコンビのキャラクターデザインが大好きなアニメ派。
お二人の描く美少年、美少女に心躍らせた世代であります。
松本零士先生の銀河鉄道999もリアルタイム世代。
TVアニメも映画版もどっぷりはまっておりました。
「60年代~2010年代まで歴代ヒーロー・ヒロイン大集合!」はかめぽん世代からおこちゃままで楽しめるラインナップ。
もちろん、深作欣二監督特集や、時代劇、任侠映画、特撮も盛りだくさん。
今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2023年5月8日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第50回『夢芝居』

記念すべき50回を迎えた、今月の「東映テレビドラマLEGACY」。今回は1982年の『木曜ゴールデンドラマ』より『夢芝居』をご紹介します。放送日は1982年1月28日。ちなみに現在、東映チャンネルで放送中の『太陽戦隊サンバルカン』は、本作の放送の2日後が最終回でした。

 

長い間、旅役者をしていた松方紋平(芦屋雁之助)が、所属していた一座を脱退しました。原因は、座長(人見きよし)と揉めてしまったこと。芝居に未練はあるものの、紋平は一座ではずっと端役。これから、どう生きていくかのアテもないまま、辿り着いたのは息子・健(鈴木ヒロミツ)とその妻(秋野暢子)が暮らす団地でした。

しかし、どういうわけか、健は妻に、自分の父親はすでに死んだと伝えていました。そのため、突然訪ねてきた「義父を名乗る男」に、妻はびっくり。やがて誤解は解けましたが、今度は別の問題が浮上します。紋平はこのまま、息子夫婦の世話になるつもりなのか? 健は妻から「なんとかしてほしい」と頼まれ、翌朝、紋平宛てに「出て行ってほしい」というメモを残して会社へ行きました。

帰宅してみると、紋平の姿がありません。健はホッとしましたが、それも束の間でした。紋平は、出て行ったのではなかったのです。団地の屋上で、自殺しようとしていた少女・未歩(浅野温子)を思いとどまらせた紋平は、未歩の話を聞いてやり、次第に打ち解け、そのまま屋上で、2人で佇んでいたのでした。

妻から責められる健。彼はもうひとつ、悩みを抱えていました。団地の自治会で、谷村会長(小池朝雄)を補佐する立場にあった健ですが、住民が納めている自治会の会費を谷村が着服しているという疑惑が浮上。住民たちからは健にも同じく疑惑の目が向けられ、精神的に疲弊していたのです。

そんな中、谷村自治会長は、健の父の「前歴」を知って、次の「団地祭り」の目玉として紋平が主演の芝居「名月赤城山」を上演したいと言い出しました。紋平の協力をとりつけてくれれば、その礼金として30万円を出すと言われた健の妻は、健の紋平に対する複雑な思いも知らず、紋平への態度を一変させます。紋平にとっても、一度は演じてみたいと願いながら、これまで叶わなかった、念願の「国定忠治」役が転がり込んできたわけで、燻っていた「役者魂」にふたたび火がつきました。

もちろん、ひとりで芝居ができるはずもなく、「松方紋平一座」を急遽、立ち上げるべくオーディションが開催されます。一方、紋平は、未歩の絵の才能に惚れ込み、芝居の書割を描いてほしいと依頼します。こうして、「名月赤城山」上演への準備が少しずつ、進んでいきましたが……。

 

公募脚本の優秀作のドラマ化。マンモス団地の住民たちの、さまざまな人間模様が描かれました。上田未歩役の浅野温子さんは当時20歳で、回想シーンではセーラー服姿も披露しています。未歩は学生時代から画家を目指しており、憧れの沢村先生(火野正平)から直接の指導を受けられるようになったことを喜びますが、その沢村から、酷い裏切りを受けてしまいます。また、奔放な母(中原早苗)との確執など、未歩をめぐる展開は濃密で、紋平と健の父子のドラマに勝るとも劣らない印象を残しました。

主演の芦屋雁之助さんといえば、当時は『裸の大将放浪記』シリーズの画家・山下清が当たり役。本作の2年後にはシングル曲「娘よ」が大ヒットし、『紅白歌合戦』にも出演を果たしました。ちなみに本作のタイトルを聞いて、多くの人が連想するのは、現在もテレビ界で活躍を続けている梅沢富美男さんのヒット曲のほうでしょう。こちらがリリースされたのは、本作の放送から10ヶ月後の(1982年)11月21日。本格的にヒットし始めたのは、1983年に入ってからのことでした。

クライマックスは、団地祭りで「名月赤城山」が上演されるシーン。そこで起こる、衝撃の出来事にご注目ください。

 

<5月の『Gメン’75』>

5月が初回放送となるエピソードは、第143話から第150話です。この期間のトピックはなんといっても、第145話から第148話にかけて、4話連続のストーリーが展開されたヨーロッパロケシリーズでしょう。豪華ゲスト陣の出演に加え、新エンディング曲「道」もこのシリーズから使用されます。ぜひご期待ください。

なお6月からは『プレイガール』の続編、『プレイガールQ』もついにスタートします!

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2023年5月】

<放送日時>

『夢芝居』

5月11日(木)11:00~13:00

5月22日(月)23:30~25:30

5月27日(土)18:30~20:30

5月30日(火)13:00~15:00

 

『女の中の風』(出演:浅野ゆう子、加藤治子、山岡久乃ほか)

5月1日(月)23:00~25:00

5月10日(水)11:00~12:50

5月18日(木)11:00~13:00

 

『連鎖寄生眷属』(出演:丘みつ子、千石規子ほか)

5月8日(月)11:00~13:00

5月13日(土)15:00~17:00

5月25日(木)11:00~12:50

2023年5月2日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 春だ、三樹夫だ、満開だ。 異形のみっきーを堪能できる弥生、幸せ♡

思わぬ桜の開花の早さで、4月は見頃も過ぎた東京。
でも、まだまだ見頃な場所はたくさん。
今年は心置きなくたっぷりと桜を楽しみましょう。
さて、東映チャンネルで今月はかめぽん大好き成田三樹夫さんの、中でも大好きな烏丸少将とロクセイア12世が観られちゃう「没後20年総力特集 映画監督 深作欣二 Vol.4」は必見。
どちらもサニー千葉さんとの激闘が堪能できる。
めちゃくちゃ強い、でも麻呂な烏丸少将はかめぽんの悪役トップ5に入る強者。
ぜひぜひ観てほしい。
昔、某役者さんから伺った話では、この麻呂な白塗りメイク、ご本人も楽しんでやられていたとか。
ああ、成田さん、素敵すぎる。

202304

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今月の東映チャンネルも花盛り。
春休みやGWとお休みも楽しみな春は「スーパーヒーローCLIMAX 春の陣」でスタート。
「『シン・仮面ライダー』公開記念【仮面ライダー スペシャル】」もあって特撮をたっぷり堪能できる。
かめぽんは剣客商売の舞台に行ったことがあるのだが、藤田さんが病気で降板された舞台で、残念ながら生のお姿を拝見できなかった。
子供の頃のてなもんやから必殺まで、ずっとお馴染みの方。
そんな彼の特集も「藤田まこと生誕90周年メモリアル【名優・藤田まことTVドラマスペシャル】」でたっぷり。
ご存命なら90歳なのか…としみじみ。
主水とはひと味違う作品がラインナップされていて、ぜひ観てほしい。
緋牡丹博徒に「東映まんがまつりセレクション 70’s Vol.3」←「フィンガー5の大冒険」の大冒険なんてまさにリアルタイム!、「没後60年メモリアル【傑作時代劇文豪列伝 野村胡堂編】」など、時代劇もミステリーも任侠も盛りだくさん。

今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2023年4月1日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第49回                   『ハイミス探偵日記 空中サーカス殺人事件』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1983年の『土曜ワイド劇場』より『ハイミス探偵日記 空中サーカス殺人事件』をご紹介します。放送日は1983年8月20日でした。ちょうど40年前の夏ということになります。

本作の主人公は、フリーカメラマンの尾形明美。演じるのは浅茅陽子さんです。この情報だけで、「おや、どこかで聞いたような……」と思った人もいるかもしれません。そう、このコラムの第43回で紹介した『瀬戸内海殺人事件』(1983年3月19日放送)の主人公と、同一人物なのです。

さらに言えば、『瀬戸内海殺人事件』と本作は、原作者(草野唯雄先生)、脚本家(高橋稔さん)、音楽担当(三枝成章さん)、監督(松尾昭典さん)も同じ。製作も同じく大阪・朝日放送です。つまり、簡単に言ってしまえば、「尾形明美シリーズ2」なのでした。行動力のある明美が、事件に巻き込まれながらも、その真相を暴いていく物語。前作を観ていなくても楽しめますし、そもそも前作の匂いを感じさせるような描写も出てきません。安心して(?)、ご覧ください。

 

周囲の友人たちが次々と結婚していく中、尾形明美は仕事で充実した日々を送っていました。とはいえ、常に「誰かに恋していたい」という気持ちも人一倍強い明美は、偶然に出会ったサーカス団員の青年・福島(伊庭剛)に興味を抱きます。編集長(梅津栄)に強引に許可を取った明美はサーカス団への密着取材を敢行。横須賀で公演を行う彼らと生活をともにしながら、サーカスの魅力を学んでいくのでした。

しかし、初日の夜から、明美は不審な事件に遭遇してしまいます。サーカスのテントの中に侵入していた何者かが、車に乗って去って行くのを目撃したのです。そして翌日の空中ブランコショーでは、ロープが途中で切れるという事故が発生しました。ロープには、刃物であらかじめ、傷がつけられていたのです。いったい、誰がこんなことを? 疑惑が広がる中で、サーカス団がさらなる問題を抱えていたことが発覚します。地元の暴力団の組長・峯岸(名和宏)が、公演の売上金を持って行ってしまいました。これでは、彼らは公演を続けることはおろか、日々の生活も満足に出来なくなるに違いありません。そんな状況にあっても団長(南利明)を中心に、メンバーはお客さんを喜ばせようとがんばっていました。

ところが、間もなく峯岸の死体が発見されました。警察は、「動機」のあるサーカス団に疑いの目を向けます。しかし峯岸の死亡推定時刻には、サーカス団は公演中でした。確実なアリバイが彼らに存在したことで、ホッと胸をなで下ろす明美でしたが……。

 

タイトルの「ハイミス探偵日記」は伊達ではなく、明美が取材メモを兼ねて細かく書いていた日記の中に、事件の謎を解くヒントがある……という仕掛けになっています。そのことがテロップで視聴者にも示されるというのがユニークな趣向。このあたりは、『瀬戸内海殺人事件』の原作で、謎解きの章に入る前に「読者への挑戦」という項を挟んだ草野先生のアイデアか、もしくは、それにヒントを得たスタッフ側によるオマージュと思われます。

実際、「犯人」が使ったトリックは、『瀬戸内海殺人事件』に続いて、大掛かりなもの。映像作品の利点を活かした、大胆な「犯行」の描写を、お楽しみください。

ところで、主人公の明美は「ハイミス」という設定が、アイデンティティのひとつになっています。「オールドミス」よりもイメージが(若干)良いということで定着した表現だったと思いますが、こういった表現自体、現在では死語でしょう。そのあたりは、あまり目くじらを立てることなく、あくまで「当時の感覚」ということで、ご理解いただければと思います。共演陣ですが、とりわけ注目なのが、サーカス団の人気メンバーとして、抜群のスタイルを披露しているMIE(現:未唯mie)さんです。当時のMIEさんといえば、1981年にピンク・レディーを解散したばかり。ソロシンガー、女優としての新たな活動を始めて3年目という時期でした。本作の翌年には、ビクターからCBSソニーに移籍し、第1弾としてリリースしたドラマ『不良少女とよばれて』の主題歌「NEVER」が大ヒットを記録します。また、「ピエロのカメさん」を演じている大坂志郎さんをはじめとするベテランの俳優さんたちが、ふだんはあまり観られないような劇中メイクをした姿を楽しめるのも、本作の見どころかと思いますので、チェックしてみてください。

 

<4月の『Gメン’75』>

4月が初回放送となるエピソードは、第135話から第142話です。ちょうど、1977年の末から、1978年へと入っていく時期に放送されたエピソードが並びます。この頃は『Gメン’75』の視聴率が最も高かった期間にあたり、各話の内容も充実しています。題材もバラエティに富んでおり、どの回にも、新鮮な驚きがあるはずです!

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2023年4月】

<放送日時>

『ハイミス探偵日記 空中サーカス殺人事件』

4月6日(木)11:00~12:50

4月22日(土)20:00~21:50

4月29日(土)14:00~16:00

 

『恋人交換殺人事件』(原作:赤川次郎/出演:池上季実子、柴俊夫、名古屋章ほか)

4月1日(土)14:00~16:00

4月17日(月)22:00~24:00

4月20日(木)11:00~13:00

 

『妻の疑惑』(原作:笹沢左保/出演:浜木綿子、井川比佐志、川地民夫、速水亮ほか)

4月13日(木)11:00~13:00

4月24日(月)15:00~17:00

2023年3月28日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 山もりな春。山守…な…(苦笑) 春も爛漫、東映チャンネルでお花見だ

お久しぶりです。
かめぽん、ちょっといろいろありまして、お休みさせていただいてました。
人生って…やりたいことは今やっておこう!としみじみ思いをめぐらせた2023年の年明け。
食べたいもの食べて、行きたいとこ行って、会いたい人には会って…
悔いのない日々を過ごしたいなと。

さて、我が家は連れ合いが「仁義なき戦い」大好きMAN、DVDボックスも揃ってます。
深作監督特集もはや3回目。
今回も仁義なきシリーズ盛りだくさんです。
それにしても、山守さん@金子信雄さん。
かめぽんにしたらお料理好きのおじさんのイメージが強かったので、初めて山守組長の金子さんを見たときはひっくり返りそうになりましたよ。
いやー、上司にしたら最悪な人。
端から見たらなんか憎めないんだけど、当事者には辛すぎる。
もう、文太さんが気の毒で…
でも、これ、実在のモデルがいるのですよね。
本当にこんな人だったのかしらん。
そんな金子さんの特集「生誕100年 名脇役・金子信雄」もお見逃しなく。

202303

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さ、今月の東映チャンネルも花盛りですよ。
「生誕120年 片岡千恵蔵」はかめぽん大好きな「十三人の刺客」を始め時代劇じゃない知恵蔵さんも。
金田一耕助好きなかめぽんも「獄門島 総集篇」は未見なので楽しみ。
花盛りラインナップはまだまだ。
「一挙放送! 緋牡丹博徒 Vol.1」に「遠山の金さんの日記念【特集 7人の遠山の金さん】」。
緋牡丹が、桜吹雪が舞いまくります。
ちなみにかめぽんは梅之助さんがお気に入りでした。
あなたの好きな金さんはどなたの金さんかな?
アニメも特撮も任侠も時代劇も、豪華絢爛な花盛り。

今月もわくわくな東映チャンネルをお見逃しなく〜

2023年3月1日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY                                                  第48回 『雨月荘殺人事件』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1988年の『火曜サスペンス劇場』より『雨月荘殺人事件』をご紹介します。放送日は1988年10月18日でした。ちょうど35年前、昭和63年の秋にあたります。本作が放送される約1ヶ月前の9月19日に昭和天皇が吐血され、以降は日々、陛下のご容態がテレビでも放送され続けました。東映のテレビ作品でいえば、現在ちょうど東映チャンネルで放送中の『さすらい刑事旅情編』(10月12日~)や『仮面ライダーBLACK RX』(10月23日~)が同時期に放送を開始しています。本作をご覧になる際は、そんな時代背景も想像しながら……というのも一興かと。原作は、和久峻三先生の『雨月荘殺人事件 公判調書ファイル・ミステリー』。元・裁判官という人物が講師を務める市民セミナーで、その人物が実際に担当した事件を、当時の捜査資料を基に説明していく(読者はその資料や、セミナー出席者の発言などを追っていく形となる)、という一風変わった趣向となっています。当時、海外で『マイアミ沖殺人事件』などの、いわゆる「捜査ファイル・ミステリー」という形式で人気を得ており、これに着目した出版社が弁護士としての顔も持つ和久先生に企画を打診。生まれたのが、和久先生の知識を活かした「公判調書ファイル・ミステリー」だったわけです。この試みが評価されて、和久先生は1989年に第42回「日本推理作家協会賞」を受賞されました。

そのままでは映像化しにくいと思われる本作ゆえ、ドラマ化にあたっては、探偵役として「元・警察署長で、定年退職後に推理作家デビューした」という主人公が設定されました。原作に登場していた(ドラマ版には登場しない)キャラクターのひとり、盲目の詩人・吉野の苗字と、原作者の名前を合体させた「吉野俊三」が、その主人公。「落ちる」という作品で「ミステリー文学賞」を獲り、注目を集めたものの、第2作の執筆がなかなか進まず、編集者から逃れて執筆に集中するために、かつて泊まったことのある「雨月荘」を再訪したところ、そこで事件に巻き込まれてしまうのです。それでは、あらためてストーリーを紹介していきましょう。

 

湯河原(原作では長野県)にある旅館「雨月荘」は、経営不振に陥っていました。「雨月荘」を所有するのは「月ヶ瀬興業」という会社。ある日、社長の月ヶ瀬都子(朝比奈順子)をはじめ、都子の夫で副社長の紀夫(金子研三)、専務の高倉(西田健)、社長秘書の井口倫子(李星蘭)が揃って「雨月荘」へやって来ました。どうやら、「雨月荘」を存続できるかどうかの瀬戸際に陥っているようです。

そもそも都子は先代の社長に見初められて結婚したが、先代の死去に伴って社長を引き継いだ人物。経営能力に乏しいばかりか態度も傲慢で、「雨月荘」で働く人々からも嫌われていました。また、再婚相手の紀夫との仲も、すっかり冷え切っている始末。一方で、秘書の倫子とはレズ関係にありましたが、都子は倫子が最近、高倉と男女の関係になっていることにも気づいていました。自業自得ながら、都子は四面楚歌の状況にあったというわけです。融資の話も断られ、彼女は追いつめられていました。

「雨月荘」がそんな状態の真っ只中にあるとき、ひとりの客がやってきました。かつて、妻で舞台女優の美沙子(野川由美子)と「雨月荘」へ新婚旅行で来たことのある、作家の吉野俊三(小林桂樹)です。彼は新作の構想に行き詰まり、若手編集者・佐川明(香川照之)の追撃を逃れるために、自宅から「逃亡」したのです。

従業員の前田照代(左時枝)は吉野のことを覚えており、彼の再訪を大いに喜びました。ふたりの会話も弾みます。しかし吉野は照代から、4年前に「雨月荘」の納屋で悲しい事件があったことも聞かされました。吉野も新婚旅行のときに会っていた、桂木雪江(北沢美紀)という女性が自殺したのです。照代によれば、雪江の自殺は、都子に激しく苛められたことが原因でした。照代だけでなく、支配人の藤本二三夫(渡辺篤史)をはじめとする「雨月荘」の従業員たちはみんな、都子や経営陣のことを嫌っていました。

そして翌朝。雪江が自殺した納屋で、都子の死体が発見されます。現場の状況や、都子の置かれていた苦況を考えると、自殺の可能性が高いと思われましたが、それにしては、遺書がありません。吉野は、都子の首に括られていたロープの結び方が特殊なものだったことに、まず疑問を感じました。都子自身が結んだものではないとしたら、これは「殺人事件」ということになります。小田原署の辻野警部(藤木悠)は、大先輩にあたる吉野に捜査への協力を求めました。原稿の締切があるにもかかわらず、これを承諾する吉野。やがて、納屋から紀夫の指紋が発見されました。紀夫には、都子と結婚する前に犯罪歴があったのです。さらに言えば、動機もじゅうぶんにあります。しかし、紀夫と面識があった吉野には、紀夫が犯人だとは思えませんでした……。

 

舞台は一貫して「雨月荘」と、その周辺のみ。とはいえ、見事な脚色と、多彩な演技陣の活躍で、観る者を飽きさせません。吉野の妻・美沙子が夫の後を追って「雨月荘」へやってきて、さらに、そのことがきっかけで吉野の行き先がバレて、編集者の佐川も駆けつけてしまう、といったサブストーリーの部分も楽しめます。注目は、1988年の春に東京大学を卒業したばかりで、まだドラマ出演の経験が数本しかなかった時期の、香川照之さんの出演です。後に、「平成」時代を代表する俳優のひとりとなっていく香川さんですが、昭和末期=デビュー当時から独特の個性を発揮していたことを、本作で確認していただけるでしょう。また、『Gメン’75』の山田刑事役などで、刑事役には定評がある藤木悠さんも軽妙な味で好演。藤本役の渡辺篤史さんは当時、東映で『じゃあまん探偵団 魔隣組』にレギュラー出演中でした。

決してハデさはない本作ですが、指紋や足跡をめぐるトリックを吉野たちが解いていく流れは、異色の構成となっている原作の特徴も反映されており、「地に足の着いた」堅実な作りになっています。春の足音が聞こえてくる3月、どこか懐かしさも感じさせてくれるミステリー作品の魅力を、ぜひご堪能ください。

 

<3月の『Gメン’75』>

3月が初回放送となるエピソードは、第125話から第134話です。第126・127話は、倉田保昭さんが演じる草野刑事のアクションが冴える、香港ロケ編。また第132・133話も、Gメンが絶体絶命の危機に追い込まれる、前後編のサスペンス大作となっています。また、そんな中で第131話「少女餓死」のような、単発の衝撃的エピソードも……! ますます充実していく『Gメン’75』に、大いにご期待ください。

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2023年3月】

<放送日時>

『雨月荘殺人事件』

3月9日(木)11:00~12:50

3月16日(土)20:00~22:00

 

『断罪』(原作:和久峻三/主演:松尾嘉代)

3月16日(木)11:00~12:50

3月20日(月)22:00~24:00

 

『花園の迷宮』(監督:斎藤光正/主演:斉藤由貴)

3月23日(木)11:00~13:00

2023年2月27日 | カテゴリー: その他