その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第47回『外科病棟の女医』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1983年の『土曜ワイド劇場』より『外科病棟の女医』をご紹介します。放送日は1983年8月6日でした。ちょうど40年前、1983年の夏というと、7月に任天堂が「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)を発売。8月の全国高校野球選手権大会では、あのKKコンビ(清原和博・桑田真澄)の活躍で、大阪のPL学園高校が優勝しました。この当時、KKコンビは1年生。大会の開幕は8月8日(月)だったので、『外科病棟の女医』が放送された時点では、まだ2人は「全国区」の知名度ではなかったことになります。

7月下旬には、山陰地方で豪雨のために死者・行方不明者が100人を超えるという災害が発生しました。『外科病棟の女医』は、偶然でしょうが、その山陰地方=鳥取県米子市が全編の舞台となっています。東映の歴代テレビ作品ではおなじみ、皆生グランドホテルも登場しました。原作は、井口民樹先生の『外科病棟の陰謀』。ストーリー的には、こちらの原題のほうが、よく内容を表していると思います。主人公となる若き外科医を演じるのは、真野響子さん。凛とした美しさに、妖艶さも兼ね備えた「和泉加代」を好演されています。ちなみに、翌週(8月13日)に放送された『死美人ホテル』の主演は、真野さんの夫である柴俊夫さんでした。また、イメージ的には意外な役で出演している岡江久美子さんは、前週(7月30日)放送の『火の坂道』に続いての『土曜ワイド劇場』出演。さらに遡ると、7月23日放送の『団地妻のさけび』には、岡江さんの夫である大和田獏さんが出演。2人はこの年の春に結婚したばかりでした。

 

さて、ストーリーを紹介していきましょう。

鳥取県米子市にある北陽大学の医学部附属病院で外科医として働いている和泉加代は、同じ第一外科で働く講師・交野修治(田村亮)と交際していました。2人は結婚を決め、加代にとっては恩師にあたる第一外科の緋田教授(下元勉)に、その意思を報告に行きます。しかし緋田は、2人の結婚を快く思っていないらしく、加代が学位を取るまで待てと、事実上の「反対」を表明しました。緋田は年齢を離れた加代に想いを寄せており、交野に加代を「奪われた」という気持ちだったのです。緋田は次期医学部長の呼び声が高い実力者。そして交野もまた、外科医としての腕を見込まれているエリート。緋田と交野は当然のように、激しく反発し合いました。

なんとしても緋田に加代との結婚を認めさせたい交野は、叔父であり、医師会の会長を務めている津沼詮造(北村和夫)に相談を持ちかけます。津沼は交野の頼みを聞き入れ、緋田が医学部長のポストを手に入れられるよう、援助することにしました。そうなると、緋田も無理は言えません。こうした裏工作の成功で、交野と加代の結婚話は、うまく進むかに思われました。

しかし交野には心配事がありました。外科医として最も大事な右腕が最近、激しく痛むのです。右腕にできた腫瘍は、良性なのか、悪性なのか。交野も信頼を置く、助手の大石(高岡健二)は自信を持って良性だと告げたが、緋田は悪性だと診断。しかも、この分野で権威のある東京の医師も緋田と同意見だったため、交野は右腕を切断せざるを得なくなります。今村助教授(中尾彬)の執刀で、手術自体は成功。しかし、交野の外科医としての未来は、大きく変わってしまいました。

失望しつつも、強く生きようとしていた交野。そして、彼を支えながら生きていこうと決意した加代。ところが、ある日突然、交野は死体となって発見されます。現場の状況から、米子署の刑事(斉藤真)は自殺の可能性が高いと判断。ただし、加代にはとても信じられませんでした。医師である交野なら、もっと確実に死ねる方法で自殺するはず。最終電車が通った後に、線路に飛び降りるという死に方は、あまりに不自然でした……。

交野の死後、緋田教授は真剣に、加代に対して「医学部長夫人になる気はないか」とプロポーズしてきました。しかし考えてみれば、交野が死ぬ前から、交野の周辺では、おかしなことがたくさん起こっていました。交野が恐れていた女・青木由美(岡江久美子)は、いったい交野とどんな関係だったのでしょうか。そして、良性か悪性かで意見が分かれていた交野の腫瘍は、本当に悪性だったのでしょうか。真相を知りたいと動き始めた加代はやがて、とんでもない事実に突き当たるのでした。

 

前半でのメインとなる登場人物・交野は、中盤で死亡。後半では、加代と由美という、2人の女性が物語を引っ張っていきます。本作において、絶妙な味を出しているのが、緋田教授役の下元勉さんです。また、今村助教授役の中尾彬さんの役作りもお見事。さらに言えば交野のような人物は普通ならば爽やかな好青年として描かれそうなところですが、本作では、そこにも一捻り、加えられています。冒頭は岡江久美子さんが演じる由美が激しい「怒り」を見せるところから始まるのですが、この由美が後半、どのようにストーリーの中軸に関わってくるのか、といったあたりに注目していただければと思います。

監督は、東宝テレビ部の作品が多かった日高武治さん。1983年は、大きな話題を呼んだ『積木くずし~親と子の200日戦争~』(主演:高部知子/最高視聴率45.3%)や、同じスタッフが手がけた『私は負けない!ガンと闘う少女』(主演:松本伊代)なども担当されており、キャリア的にも絶頂期にあったと言えるでしょう。実力派のスタッフ・キャストによる、骨太なドラマをぜひ、ご堪能ください。

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

<2月の『Gメン’75』>

2月が初回放送となるエピソードは、第117話から第124話です。第117話「日本降伏32年目の殺人」は、第114話と並行して撮影された長崎ロケ編。第123話&第124話は、誘拐をテーマにしたスケール豊かな前後編となっています。ぜひ、ご期待く

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2023年2月】

<放送日時>

『外科病棟の女医』

2月2日(木)23:00~24:40

2月18日(土)20:30~22:10

 

『盗聴する女』(出演:浅野ゆう子、岡田茉莉子、森次晃嗣ほか)

2月3日(金)13:00~15:00

2月17日(金)13:00~15:00

 

『空白の実験室』(原作:渡辺淳一/出演:浜木綿子、橋爪功、平泉成ほか)

2月10日(金)13:00~15:00

2月24日(金)13:00~15:00

2023年1月26日 | カテゴリー: その他
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY                                                               第46回『私は怪魚をみた』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1981年の『木曜ゴールデンドラマ』より『私は怪魚をみた』をご紹介します。放送日は1981年8月27日でした。主演は丹波哲郎さんと、坂口良子さん。当時の丹波さんのイメージとしては、東映チャンネルでも絶賛、放送中の『Gメン’75』のボス。1981年には、『Gメン’75』も7年目に入っていました(結果的には、これが最終年度となり、1982年の春に終了を迎えます)。そして、坂口良子さんは人気絶頂。生涯の代表作のひとつである『池中玄太80キロ』シリーズは、ちょうどパートⅡが放送中で、8月29日、つまり本作の2日後に、最終回が放送されるというタイミングでした。『池中玄太』は、『Gメン’75』の裏番組。1970年代後半、他局を圧倒する高視聴率を獲得していた『Gメン’75』も、時代が1980年代へと突入したころから人気が落ち着いていきますが、ライバルとなったのは「2時間ドラマ」の『土曜ワイド劇場』や、水谷豊さんの『熱中時代』シリーズ、西田敏行さんの『池中玄太80キロ』シリーズなどの、日本テレビのドラマでした。本作は『Gメン’75』の主演俳優が、ライバルである裏番組のヒロインと、ライバルである「2時間ドラマ」というジャンルで共演した作品、と捉えても面白いでしょう。

 

そして、もっと面白いのは題材です。ストーリーを紹介していきましょう。

仕事一筋で生きてきて、新興の商社を、財閥系と張り合えるまでに大きくした男・矢杉竜二(丹波哲郎)。常務にまで上り詰めた彼は次期社長と目されていましたが、ある日突然、辞表を提出します。取締役たちも、彼の部下たちも、なぜ矢杉が辞めてしまうのか、理解ができませんでした。

会社を去っていく矢杉に声をかけたのは、女性週刊誌の記者・野中由美(坂口良子)でした。「モーレツビジネスマン」の象徴として、矢杉を密着取材したいと考えていた由美ですが、矢杉が会社を辞めたと聞いて絶句します。いったい、矢杉は何を考えているのか。新しい仕事でも始める気なのでしょうか? 由美は矢杉の「今後」に興味を抱きますが、矢杉は何も話しませんでした。

しかし、意外な場所で矢杉の姿を見かけたことから、由美は本格的に、矢杉の「計画」を調べ始めます。矢杉が接触していたのは、世界的な建築家(仲谷昇)や、石油ビジネスで名を馳せた男(佐藤允)でした。やがて、3人は離島である「浮之島」へ。由美は、これらの状況から、ひとつの仮説を立てます。3人は、新たな石油採掘ビジネスを展開しようとしているのではないか?

ところが、それは全くの的外れでした。浮之島で、何か大きなプロジェクトの「準備」を始めている3人に「突撃」した由美は、矢杉から、彼らがやろうとしていることの全貌を、ついに聞き出します。なんと3人は、島の海岸付近に棲息している巨大魚を釣り上げたいという目的で、私財を投じていたのでした……。

 

ようやく、タイトルにつながる部分が出てきましたが、そんなわけで、本作は人生で成功を収めた者たちが、新たなチャレンジを行う姿を追ったドラマです。メンバーの「本気度」が伝わってくるのが、彼らがこの計画のために用意した設備の描写。普通の釣り具で戦えるような相手ではもちろんなく、巨大なクレーンが登場します。3人が島へ渡るまでのシーンでは彼らの真剣な「作戦会議」風景が描かれるのですが、画面に映っているのが丹波さん、仲谷さん、佐藤さんなので、やはり重厚感が違うのです。絶妙なるキャスティングだったと言えるでしょう。

周到に準備したにもかかわらず、巨大魚は想像を絶する難敵で、なかなか人間の叡智に屈することはありませんでした。やがて、矢杉以外の2人は諦めて、島を去ってしまいます。しかし、それでもなお諦めない矢杉。由美はいつしか、最初は「取材対象」でしかなかった人物に、自分が想いを寄せ始めていたことに気がつきます。そして、矢杉はそんな由美に、いままで誰にも話したことがなかった、自分の過去について、話し始めるのでした……。

さて、矢杉は巨大魚を釣り上げることができるのでしょうか。また、由美の気持ちは矢杉に通じるのでしょうか。浮之島の上空を飛ぶ、謎のヘリコプターの正体は!?

 

当コラムの第41回で採り上げた『羆嵐』に続く、「木曜ゴールデンドラマ」の異色作。ひとりの男の生きざまを通して、「人生とは」「幸せとは」といった、壮大なテーマが謳い上げられます。矢杉とは長い付き合いだったクラブのママ役で野際陽子さんが出演しているほか、由美の上司にあたる週刊誌の編集長役で河原崎長一郎さん、浮之島の漁師役で浜村純さんと、助演陣も充実。丹波さん、仲谷さん、野際さんという顔ぶれに『キイハンター』を思い出す方も、きっと多いことでしょう。脚本は、丹波さんも出演した『御用金』(69年)など、五社英雄監督との仕事が印象的な田坂啓さん。監督は新東宝の出身で、国際放映のテレビドラマを中心に長く活躍した高橋繁男さんでした。

最後に……本作の「最大の見どころ」と言えるのは、本編終了後のエンディング映像かもしれません。良くも悪くも物議を醸しそうな、(当時としては)他に類を見ないレア映像となっています。あくまで本編の評価とは別軸で、このエンディング映像についても、ご自身の目で、その「価値」をご判断ください。

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

 

<1月の『Gメン’75』>

1月が初回放送となるエピソードは、第109話から第116話です。第105話からメンバーの半数が一新されたGメン。この時期は新メンバーである立花警部補(若林豪)、中屋刑事(伊吹剛)、速水涼子刑事(森マリア)の活躍編がメインとなっています。第114話では長崎ロケも敢行。ホラータッチの第116話「エクソシスト殺人事件」にも注目です。ぜひ、ご期待ください。

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2023年1月】

<放送日時>

『私は怪魚をみた』

1月5日(木)11:00~13:00

1月19日(木)11:00~13:00

 

『震える髪』(脚本:橋本綾/監督:池広一夫/出演:秋吉久美子、篠田三郎ほか)

1月12日(木)11:00~13:00

1月26日(木)11:00~13:00

 

『現代神秘サスペンス 間違った死に場所』(出演:浅野ゆう子、野際陽子ほか)

1月13日(金)17:00~18:00

2022年12月26日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! さよなら、わたしの青春。 ずっと、ずっと、あなたの唄を聞き続けます。

お久しぶりです、かめぽんです。
いろいろあってバタバタと秋が過ぎ、今年もあと半月となりました。
なんか、1年、早いんですが!
そんな師走、衝撃的なニュースが…
アニソン界のレジェンド、水木一郎アニキの訃報が入ってきました。
かめぽん、生でアニソンを聴いたの、水木さんが初めてでした。
忘れもしない高校生の頃、某所の野外ステージ。
アニメージュという専門誌が創刊された第一次アニメブームの頃でした。
水木さんの歌を聴いて、何度元気をいただいたか…
一時洋楽やポップスに走ったかめぽん、年取って戻ってきたのはアニソン、歌謡曲。
水木さんをライブで拝見したのは2015年「日本コロムビアのアニソン50周年ライブ」が最後となりました。
もう7年も前なのね。
もっとたくさんライブに行けばよかった(泣)
東映の作品もたくさん唄ってらっしゃいます。
現在放映されているのは「バビル2世」「仮面ライダー(新)」。
水木さんの唄を一緒に口ずさんで偲ぼうと思う。
アニキ、いままで本当にありがとう。

202212

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水木さんの訃報で頭の中はアニソンがこだまするかめぽん。
が、しかし、師走からお正月にかけても楽しい番組は目白押しです。
『マジンガーZ』放送開始50周年 一挙放送! スーパーロボット THE MOVIEを放映中ですが、グレートマジンガーは水木アニキの楽曲。
同じく帝王ささきいさおさんのグレンダイザーやゲッターロボの曲も要チェック。
「東映まんがまつりセレクション 60’s Vol.1」や「宇宙映画特集」など今月はアニメ大充実。
「生誕90年 中村錦之助特集 後編」では師走といえばの「赤穂城断絶」も。
年明けには大型企画「没後20年総力特集 映画監督 深作欣二 Vol.1」もスタート。
深作監督の作品を網羅する大特集をお見逃しなく。

今年の漢字は「戦」。
来年には穏やかで、優しい漢字が選ばれる世の中でありますように。
みなさま、よいお年をお迎えください。

来年もわくわくな東映チャンネル、お楽しみに!

2022年12月14日 | カテゴリー: かめぽん
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第45回『花冷え』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1981年の『木曜ゴールデンドラマ』より『花冷え』をご紹介します。放送日は1981年2月5日でした。今回、東映チャンネルでの放送は12月で、大晦日にも放送がありますが、劇中では、序盤に大晦日や元日の描写がありますので、12月にご視聴いただくには、ちょうど良い作品かもしれません。

本作は瀬戸内晴美さんの「夏の終り」「黄金の鋲」をベースに映像化された作品です。瀬戸内晴美さんは、いまでは瀬戸内寂聴さんと書いたほうがわかりやすいでしょう。いまからちょうど100年前、1922年(大正11年)に生まれ、1年前の2021年に99歳で亡くなられた尼僧にして、小説家。大正から昭和、平成、令和を駆け抜けた、その波乱に富んだ生涯については、よく知られているところでしょう。約半世紀前の1973年に出家された寂聴さんですが、「夏の終り」が書かれたのは、いまから60年前の1962年。少しややこしいのですが、1963年に出版された短編小説集「夏の終り」には、標題作のほか、その連作という形で「花冷え」というタイトルの作品も収録されていました。本作のタイトルは、ここから採られたものです。そして、ドラマの内容は「夏の終り」がベースになっていますが、ラストの主人公のモノローグ部分には「黄金の鋲」(1967年に発表)の表現が登場します。

「夏の終り」は、1963年に早くも映画化されていました。このときのタイトルは『みれん』で、これも「花冷え」と同様、「夏の終り」の連作として書かれた作品のタイトルでした。池内淳子さんが主演で、その他、仲代達矢さんや仲谷昇さん、西村晃さんらが出演されました。そして、そのちょうど50年後には、満島ひかりさんの主演でふたたび『夏の終り』が映画化されました。主人公の設定は小説家ではなく染色家となっているものの、知子・涼太・慎吾といったキャラクター名は変更されていません。

 

さて、前置きが長くなりましたが、「花冷え」のストーリーについて、ご紹介していきましょう。相沢知子(岩下志麻)は、中堅の女流作家として多忙な日々を送っていました。私生活では、久慈慎吾(中尾彬)という、売れない小説家と暮らし始めてから5年が過ぎていました。ただし久慈とは不倫の関係でした。久慈は、知子の家と、妻子が暮らす家を行き来する日々。大晦日から元日にかけてなど、節目のタイミングでは、妻子のところにいました。しかし、知子もそんな生活に、特にストレスを感じていませんでした。

そんなとき、知子は思いがけない再会を果たします。8年前、自分が夫と乳飲み子を捨てて結ばれた木内涼太(萩原健一)が突然、知子の前に姿を現したのです。知子と涼太の関係は、知子が家庭を捨ててまで選んだものにもかかわらず、すぐに終わっていました。その後、涼太は結婚したものの、いまは別れて独身に戻っているようです。久慈と幸せな日常を送っている知子にとっては、涼太との再会は「ただ懐かしい」ものでした。

ところが涼太にとっては、そうではありませんでした。涼太は知子が久慈と暮らしている家を調べたうえで、久慈が妻子のもとへ帰っている元日に、ひとりぼっちで正月を迎えている知子を訪ねてきたのです。このあたりから、知子の心にも、変化が生じ始めます。後日、久慈の妻からの電話をたまたま受けてしまった知子は、あらためて、久慈には家庭がある、という事実を認識する形になりました。頭の中では理解していても、直接、久慈の妻の声を聞いたことが、知子に大きな影響を与えたようです。久慈と別れることを決意した知子。一方の涼太も、知子を激しく求めていました。しかし、知子にとっては、これは新しい修羅の道の始まりだったのです……。

 

岩下志麻さん、萩原健一さんという2大スターが共演した、大人のラブストーリー。ただしテーマは「不倫」なので、知子や涼太のヒリヒリした思いが、画面を通じて伝わってきます。特に後半はほぼ、この2人だけのやりとりが続く構成。お互いを愛しているのに、どうしてもうまく気持ちが通い合わない2人の、本気のぶつかり合いは凄まじい迫力です。ちなみに、当時の岩下志麻さんは大河ドラマ『草燃える』(79年)の主演を務めた後で、映画『極道の妻たち』シリーズ(86~98年)に出会う前、という状況。萩原健一さんは30歳を迎えたばかりで、黒澤明監督の映画『影武者』に続いて、本作に取り組んだという形でした。2人とも、キャリアの絶頂期へ向かう時期に、本作と出会ったと言えるでしょう。また萩原さんと寂聴さんの交流が長く続いたことも、よく知られるところです。

初回放送から40年あまりを経て、ふたたび世に問われる、寂聴さんの世界。最高の演技者を得て、どのように描かれたのか、この機会にご確認ください。

 

<12月の『Gメン’75』>

12月が初回放送となるエピソードは、第99話から第108話です。サブタイトル通り、「安楽死」の問題を扱った第99話「安楽死」をはじめ、重厚なテーマに挑んだ回が続出。そんな中、第103話では響圭子刑事(藤田美保子)がGメンを去り、第104話では津坂刑事(岡本富士太)が壮絶な殉職を遂げます。さらに第105話からは立花警部補(若林豪)、中屋刑事(伊吹剛)、速水涼子刑事(森マリア)がGメンに加入。約半数のレギュラーが一気に入れ替わった『Gメン’75』は、新時代へと突入していきます。第105、106話では香港、マカオでのロケも行われていますので、ぜひ、ご期待ください。

そして『ピンスポ!』では、10月の前編に続いて、岡本富士太さんインタビューの後編が放送されます。もちろん、殉職編などについてもコメントをいただいておりますので、こちらもお見逃しなく!

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2022年12月】

<放送日時>

『花冷え』

12月8日(木)13:00~14:50

12月31日(土)21:30~23:30

 

『非行少年』(原作:津本陽/脚本:高久進/主演:石立鉄男)

12月9日(金)13:00~15:00

 

『沈黙は罠』(原作:夏樹静子/主演:香山美子)

12月13日(火)13:00~15:00

 

『現代神秘サスペンス 六本木メランコリー』(出演:岩下志麻、原田芳雄ほか)

12月16日(金)19:00~20:00

12月30日(金)19:00~20:00

2022年11月25日 | カテゴリー: その他
その他

チューもく!! 東映テレビドラマLEGACY 第44回『怨霊女子学園』

今月の「東映テレビドラマLEGACY」は、1981年の『木曜ゴールデンドラマ』より『怨霊女子学園』をご紹介します。そのタイトルから推察できる通り、放送時期は真夏(8月13日)。当コラムの第42回では、同じく『木曜ゴールデンドラマ』より『悪霊の棲む館』(1980年8月21日放送)をご紹介しましたが、『怨霊女子学園』も『悪霊の~』と同様にプロデューサー=武居勝彦さん(東映)、脚本=藤井邦夫さん(前作では「相里修」名義)、監督=吉川一義さんのトリオで作られました。

 

「聖和女子学園」では、妙な噂が広がっていました。この学園はもともと、双子の姉妹を亡くした父親によって創立され、現在でも、その姉妹を描いた絵が学園内の一室に飾られているのですが、夜になると、姉妹が絵から抜け出し、幽霊のように出没するというのです。そして、もうひとつ。若く美しい美術教師・水村涼子(真行寺君枝)は生徒たちからも人気がありましたが、その涼子が2人いるのではないかという奇怪な噂も……。その話は本人の耳にも届いており、涼子は困惑していましたが、同僚で親友の浅倉先生(五十嵐めぐみ)は、「気にしないほうがいい」とアドバイスします。多感な年頃の生徒たちには、不思議な感覚が備わっており、噂は、その影響に違いないだろうと……。

そんなある日、学園で用務員として働いていた大沢(灰地順)の死体が、校庭の池で発見されました。学園はパニックになりますが、中川園長(小山明子)は教頭(加藤和夫)に対し、「仮に不審な点があったとしても、事故死として処理・報告するように」と厳命します。厳しい園長にそう言われては、教頭としても従わざるを得ません。園長は、自分が人生を懸けて運営している学園に、傷をつけたくなかったのです。

しかし、さらなる事件が起こります。今度は、涼子の噂に関心を持っていた音楽教師(永島暎子)が、屋上から転落死を遂げたのです。しかも、浅倉先生は偶然にも、その瞬間を目撃してしまいました。転落死ではなく、殺人。それも、犯人は涼子……と同じ顔をした人物でした。慌てて浅倉先生は、休暇をとっていた涼子に連絡を入れます。すると涼子は電話に出ました。ホッとした浅倉先生でしたが、同時に、もうひとつの疑惑が確信へと変わっていきます。涼子は本当に、2人いるかもしれないのです。

事件が連続して起こったことで、刑事(小池朝雄)も本格的に捜査を開始しました。刑事は、学園内の噂を調査し、やがて、今回の事件につながる手がかりを入手します。それは、果たして……。

 

全編の大半の舞台となっているのが、タイトルにも入っている「女子学園」です。冒頭から、不気味な「双子の幽霊」が登場。「学園ホラー・サスペンス」として、雰囲気たっぷりな一編となっています。物語の鍵を握る、ミステリアスな涼子を演じた真行寺君枝さんは、当時、テレビドラマ『沿線地図』(79年)や、アサヒビールのCMへの出演などで注目を集めていました。美術教師を演じていますが、放送時点で21歳という若さでした。ベテラン刑事の小池朝雄さん、園長の小山明子さんが貫禄を見せる一方で、ショッキングな死体役を吹き替えナシで演じた灰地順さんの熱演も印象に残ります。

学園という閉鎖的な空間で、悲しい事件が生まれてしまった原因は何なのでしょうか。あっと驚く真相が明かされるラストまで、じっくりとご覧ください。三枝成章さんによる劇伴曲の数々も、素晴らしい仕上がりです!

 

<11月の『Gメン’75』>

11月が初回放送となるエピソードは、第91話から第98話。第94話「ブリュッセル国際空港の女」は、第86話から第88話に続くヨーロッパ・ロケシリーズの1作です。この時期は他にも、第92話「女の留置場」や第93話「29の死神の手紙」、第97話「嫁・姑・孫の戦い」など、衝撃的な展開を見せる回が続出します。ぜひ、ご期待ください。

そして『ピンスポ!』では、『Gメン’75』にも頻繁にゲスト出演されている佐藤仁哉さんが登場。11月から特撮ドラマ『コンドールマン』が放送されることを記念して、当時の秘話をたっぷりと語っていただきました。こちらもお見逃しなく!

 

文/伊東叶多(Light Army)

 

【違いのわかる傑作サスペンス劇場/2022年11月】

<放送日時>

『怨霊女子学園』

11月10日(木)13:00~14:50

11月24日(木)20:00~22:00

 

『運命の旅路』(主演:丘みつ子)

11月18日(金)13:00~15:00

11月28日(月)15:00~17:00

 

『現代神秘サスペンス 三階の魔女』(監督:山下耕作/主演:十朱幸代)

11月20日(日)19:00~20:00

11月29日(火)16:00~17:00

2022年10月24日 | カテゴリー: その他
かめぽん

チューもく!! 帰ってきた亀山くん! 相棒の相棒がぐるっと回って新たなスタートラインに

反町さん@冠城くんが卒業とのことで、新しい相棒が誰になるかいろいろ想像していた。
(個人的には稲垣吾郎くんとかいいかなと思っていたんだけど)
まさかの亀山薫復帰とは。
やるなあ「相棒」。
かめつながりで亀山くんの復帰はめちゃくちゃうれしいかめぽんです。
その新スタートを記念して、東映チャンネルでは【相棒スペシャル】を放映。
土曜ワイド劇場で2時間ドラマとして放映されたのがスタート。
連ドラ版の元祖ともいえる3作品を一挙放映。
かめぽん、連ドラで相棒にはまり、この土ワイ版相棒のDVDボックス買っちゃいました。
連ドラ版とは微妙に違う箇所を探すのも面白い。
「相棒 警視庁ふたりだけの特命係」というタイトルも懐かしい右京&薫の初々しいコンビと、新シリーズの息もぴったりな右京&薫を見比べるのも。

202210

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今月のメイン特集は、かめぽんの連れ合いが今年ドはまりした「警視庁物語」の一挙放映がスタート(2か月連続企画【一挙放送! 警視庁物語 前編】)。
後の東映作品で強面役で出ていらっしゃった方々が、渋い刑事役で続々登場。
個人的には捜査主任役の神田隆さんや、若くて二枚目な今井健二さんが大好物(今井さんの刑事さんは特集の後半で観られます)。
おっ!と思う方々が刑事役や犯人役で出演されているので、お見逃しなく。
時代劇では某大河ドラマと時代を同じくする【源平合戦とその時代】を放映。
東千代之介さんと中村錦之助さん主演の「曽我兄弟 富士の夜襲」や大川橋蔵さんが源頼朝を演じる「富士に立つ若武者」など5作品を放映。
ライダー特集やスポーツ映画特集、プリキュアに博奕打ちシリーズと盛りだくさん。
夏の暑さも一段落。
秋の夜長におうちで映画・ドラマ三昧はいかが?

今月もわくわくな東映チャンネル、お楽しみに!

2022年10月1日 | カテゴリー: かめぽん